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お知らせ

小さな点から拡がる波紋

 私はこれまで加太分室地域ラボにて、暮らしながらまちを観察し、地域の皆様と共にまちづくりに係る活動を行ってきましたが、この2020年をもって加太を離れることとなり常駐員を置いての活動は一区切りとなります。2018年の春からこれまで、加太内外の多くの皆様と協力したり支えられたりしながら活動を行ってきました。

これまでに主に、地域ラボと地域交流拠点の開設である「拠点づくり」、地域や行政と企画を考え取り組む「事業企画」、まちづくりに関する「人材育成」、加太のまちづくりや地域ラボでの取り組みを発信する「情報発信」、そして調査を踏まえて新たな指針を探る「調査研究」の、5つの活動を行ってきました。

紙面の都合でこれらについて詳細を一つずつ紹介することは割愛しますが、これらの活動を通して、常駐して地域の内部の人間となることでできたこと、つまり通って調査して協力するだけでは難しかったであろう地域との関わり方ができたかと思っています。また、まちづくりの研究者として、参与観察的に、通いでは捉えられない地域の四季折々や一瞬一瞬、加太住民の生業やまちに対する熱い想いに触れることで加太というまちへの理解が深まったかと思います。

左から中本、青木、川﨑

地域ラボ設立当初には想定していなかった活動展開もありました。地域拠点を構え常駐することで、行政や加太内外から多様な相談事が寄せられることも多く、自身の研究分野に関わらない多面的な知見が求められました。この相談の内容に応じた研究者と地元の方々への振り分けを行うコンシェルジュ的な役割も担うこととなり、結果として、地域との関わりに幅が出ました。

また、地域の生業や人々が感じる良さの多くは口伝情報のみだったことに対して、この情報を明文化し訪問者へ提供することを意識的に行ってきました。その結果、発信した情報に対して、地域内外の方々や多分野の研究者からの追加情報の提供などもあり、知見の上書きが行われることもありました。とはいえ、常駐員として地域ラボで行った3年弱の活動は、ほんの小さなものかもしれませんが、これが地域のまちづくりに対して少しでも前向きな意味を持ち、加太のまちづくり活動の中で波紋のように広がっていけると良いなと願っています。

この地域ラボ通信の枠では、加太の情報や活動の様子、まちに関する知見を研究員の中本さんと共に発信してきましたが、今回で最終回となります。ここで紙面をいただいたことで、多くの方々に加太を知ってもらうきっかけになり、また人との関係が広がることもあり、わかやま新報さんには感謝の念に耐えません。

この記事は2020年12月26日 わかやま新報「加太地域ラボ通信」に掲載されたものを一部編集したものです。