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kada-lab

コラム

1つの行動で変わる未来

「SDGs」という言葉をよく耳にします。聞いたことはあるがよく分からないといった人が多いのではないでしょうか。

SDGsはSustainable Development Goalsの略称で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されています。2015年9月に国連サミットで採択されたもので、193の国連加盟国が2030年までに達成すべきことを掲げたものです。これは17のゴールと、このゴールをより具体化した169のターゲットで構成されています。人類が地球上で人口を増やし、開発と発展を繰り返し私たちの生活が豊かになる一方で、地球の健康は損なわれてきました。私たちがこの地球で今後も暮らし続けるために必要なことを人類の共通の目標として掲げたものがSDGsです。このSDGsの17のゴールは「社会」・「経済」・「環境」という3つの側面を持っています。これらのことが相互に関連し、バランスのとれた形で達成されることが理想的な姿だと言われています。SDGsは、豊かな社会を創出し、経済成長もさせつつ、環境も守る、というバランスの取れた社会を理想としています。

1つのある行動が全てのことに繋がるということが分かる事例があります。南三陸町は牡蠣の養殖で有名でしたが、過密養殖が問題になっていました。そんな中、東日本大震災により牡蠣の養殖筏が流されてしまいます。養殖を再建する過程で、それまでの養殖方法を見直し、海の豊かさを守るためにも養殖筏を減らすことにしました。筏を減らしたことによって海への負担が減り、これまでは牡蠣を出荷できる状態まで育てるのに3年かかっていたところが、質のよい牡蠣を1年で育てることができるようになったのです。

そして質の向上した牡蠣を出荷することができるようになったことで入札価格も上がり、従事者の収入も増えました。さらに養殖筏を減らしたことで作業時間も減り、労働環境の改善にも繋がる…という連鎖を生み出しました。養殖方法を見直し海と共生する漁業のあり方について考えたことがきっかけになり、社会・経済・環境の全てが良い方向へ繋がっていったことが分かります。このように、1つの行動が良い連鎖を生み出し、社会全体の底上げを行っていくことがSDGsの目指すべき世界なのです。

 SDGsは、全ての時代の全ての人のための目標です。誰かがやってくれるという考えは捨てて、他人事だったことを自分事にし、これからの未来を生き、創っていく者として、今できることは何かを考え、それを実行に移していくことが大切です。私一人が変わっても…ではなく、まずは私一人でも変わらなければという思考にシフトさせ、これからの未来を考えていきませんか?自動車を使用せず徒歩や自転車で移動してみる、レジ袋は使用せずエコバッグを使用する、というような小さな行動が私たちのこれからの未来に繋がっているはずです。

この記事は2020年5月30日 わかやま新報「加太地域ラボ通信」に掲載されたものを一部編集したものです。