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コラム

大学と行政の新しい協働のカタチ

 「和歌山市役所から地域ラボへ!」突然の異動で私の業務内容が一変しました。地域ラボで勤務する前は、和歌山城を見ながら市役所に出勤し、窓口業務をこなす日々でした。それが今年の1月からは海を見ながら出勤し、「まち」について学ぶ日々となりました。しかし早いもので加太にきて3か月が経とうとしています。青木助教からの薦めもあり、新年度という節目に今回このコラムを担当させていただくことになりました。私が加太にきて感じたことを紹介したいと思います。

加太で「持続可能なまち」を考える日々

 私が地域ラボで研究活動を行うことになったのは、和歌山市が推進するSDGs未来都市計画がきっかけでした。SDGsは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、2015年に国連サミットで採択された2030年を期限とした全世界共通の17の目標です。このSDGsの理念に沿った取り組みを推進する都市として、和歌山市は2019年度に「持続可能な海社会を実現するリノベーション先進都市」を提案し、SDGs未来都市に選定されました。

この計画に関連して、東京大学生産技術研究所と協働で持続可能なまちについて研究を行いながら、加太地域の活性化に向けた取り組みを行うことになりました。青木さんに加太について教えてもらいながら、数週間ほどは加太に関わる人とお会いする日々が続きました。その中で感じたことは、加太のまちに関わる人それぞれの熱い想い、私のような突然やってきた余所者にも優しくしてくれる人の温かさでした。

 人口減少・少子高齢化といったことは加太に限らず全国の課題です。加太はその課題に全力で向き合い、どうすれば持続したまちをつくっていけるのかを真剣に考えているまちだと感じています。加太のまちを見て、「まちづくり」というのは短期的に行うものではなく、長期的な視点で見ていく必要があるものと実感しました。

そして加太のすごいところはまちの魅力を知っていることです。まちの「いいところ」は住んでいる人からすると日常であり、それを魅力として感じることはあまりないかもしれません。

 まちの魅力を知っていることが加太の強みだと思います。どこのまちにも「いいところ」はあります。それがモノなのか、人なのか、自然なのか…様々だと思いますが、一度自分の住むまちを俯瞰して見ることも必要なことかもしれません。

 「持続可能なまち」のあり方について、加太のまちを定点観測的に見ながら、まちや人のポテンシャルが違う中で、行政として他のまちにもどうすれば波及させることができるのかを考えていければと思っています。

この記事は2020年4月18日 わかやま新報「加太地域ラボ通信」に掲載されたものを一部編集したものです。