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活動

加太沖の海底を観察しました!

加太分室地域ラボは、昨年から川添研究室の他に同じく生産技術研究所の2つの研究室と共有しています。先日、その内の一つの研究室を主宰する、巻俊宏准教授が加太にお越しになり、加太沖の海底を記録するという実験を行いました。

今回の調査には、地域ラボの私と派遣研究員の中本さんも補助スタッフとして調査に参加させていただきました。


巻准教授(中央)と派遣研究員の中本さん(右)

巻研究室では、海中海底探査システムの開発研究を行なっており、今回はその内のROVと呼ばれる遠隔操作型の水中ロボットを船から下ろして海底を観察しました。

遠隔操作型水中ロボット(ROV)

調査に当たって、加太の地元の力も借り、事前に観察対象地の漁場を漁師さんにヒアリングした上で、幾つか候補地をあげ、当日の天候や風、潮の流れを見て、漁師さんと相談しながら観察対象地の漁場を調査しました。

観察対象地を打ち合わせする巻准教授と漁師さん

古くからの漁師町である加太にとって、海はまちに暮らす人々の生活を支えてきたとても大事なものです。加太漁業協同組合では海中環境への配慮から一本釣り、刺し網(加太ではあみたてとも言う)、潜水、たこ壺など獲物をピンポイントで狙う小規模漁法をルール化している他、持続可能な漁場を維持するため、漁礁を入れたり鯛の稚魚を放流するなど、海を大事にする活動を継続的に行なっています。また、加太小学校でも、クラスで鯛を飼育して放流するなど、漁師町ならではの教育を行なっています。

毎日のように出漁する漁師さんたちは海中は見えなくとも、その経験から魚を釣ります。そんな漁師さんたちにとっては日頃の職場かつ、皆で大事にしている海の中の様子をROVを用いて観察する事で、持続可能な海中環境維持活動に対する成果を目で見ることができました。

水中ロボット搭載のカメラで撮影した加太沖の海底を泳ぐ魚


色んな姿形の生き物が海の底で波に揺られながらひっそりと佇む様子や、魚の群れが楽しそうにスイスイ泳ぐ姿をカメラが捉え、水族館とはまた違う、野生の海の壮大な世界を感じました。

この記事は2020年3月20日 わかやま新報「加太地域ラボ通信」に掲載されたものを一部編集したものです。